以前、本ブログでも紹介しましたが、Azure SQL Database の無料枠がプレビューとしてリリースされました。Azure SQL Database の無料枠の利用方法や紹介については下記の記事をご参照ください。
onarimon.jp
Azure の Database 系のリソースの無料枠はAzure Cosmos DB しかなかったため、今回の無料枠の発表はAzure 利用者の中でも注目される発表だったと思います。
そんな中でSNSなどでAzure 無料枠の利用法について下記のような意見がありました。
- 無料サービスは情報が吸い取られている？
- 無料枠では本番データを入れてはいけない？
- Developer Edition みたいにライセンスとして本番利用、商用利用が禁止されている？
このような意見を見て気になり、無料枠の本番運用について調べる機会があったため、記事を書きます。
Microsoft の公式ページでの記述
無料の SQL データベース オファーは、Azure SQL Database の使用を開始しようとしている新しい Azure のお客様、および概念実証のために開発データベースを必要とする可能性がある既存のお客様向けに設計されています。 Azure SQL Database free offer - Azure SQL Database | Microsoft Learn より引用。
新しくSQL Database を利用しようとしているユーザー、もしくは検証目的に開発データベースが必要なユーザー向けに設計されていると書かれています。
また、Azure SQL Database の無料オファーに関してはMicrosoft の公式 Azure SQL 開発者のブログにて、下記のように説明されています。
Azure SQL Database Free オファーは、SQL ワークロードを無料から開発およびスケーリングしたいすべてのユーザー向けに設計されています。学生、開発者、小規模企業の経営者、企業のお客様のいずれであっても、このオファーを使用して、ニーズと予算に合ったフル機能の Azure SQL データベースを作成できます。
このオファーを使用できるシナリオの一部を次に示します。
- バックエンド データベースとして SQL を使用する新しいアプリまたは Web サイトを開発する。
- SQLを学習したり、実践的な練習やチュートリアルでスキルを向上させたりします。
- 新しいプロジェクトやアイデアの概念実証やプロトタイプを作成する。
- テストまたは実験の目的で既存の Azure サブスクリプションに別のデータベースを追加する。
- オンプレミスまたは別のクラウド プロバイダーから Azure へのアプリの再構築。
New Azure SQL Database free offer - Azure SQL Devs’ Corner より引用
確かに開発、検証目的のことしか記述されておりませんね。
公式ページでの説明ではSQL Database のスタートアップ、開発、検証目的で使用されるとしか書かれておらず、本番での運用を制限する記述は特に明記されていないように思われます。
明確に書かれていないため、Micorosoft サポートに問い合わせてみました。とても丁寧に解答して頂きました。ありがとうございます。
MS サポートに SQL Database 無料枠の本番運用について聞いてみた
ということでMicrosoft サポートに問い合わせてみました。
質問1「MS Learn ページに書かれていた記載内容について」
回答：下記のように記載されているが、それ以外の目的でも使用することは可能。
無料の SQL Database オファーは、Azure SQL Database の使用を開始しようとしている新しい Azure 顧客、および概念実証のために開発データベースが必要な既存の顧客向けに設計されています。
質問2「無料枠の制限がある点、SLAがない点を許容できる運用であれば、本番のデータ運用でも利用しても良いのか」
回答：無料枠の容量とコンピューティングの制限で問題なく、SLAがない点を理解しているのであれば本番運用も可能。ただし、MSとしては本番環境での利用は推奨していない。
質問3「SQL Server の Developer エディションのように本番利用が禁止されているのか？」
回答：本番利用の禁止はされていないので、本番環境として利用可能。
質問4「無料枠のデータが Azure SQL Database の情報がなにかの形で吸い取られて利用されているようなことはあるのか」
回答：無料枠のデータをMSにて確認することはない。
質問5「無料枠のデータベースと通常の汎用データベースとの違いについて」
回答：提供機能に制限があることが違い。下記のページに通常の汎用データベースとの違いが紹介されている。
Azure SQL Database free offer - Azure SQL Database | Microsoft Learn
結論「無料枠の制限やリスクを理解した上で自己責任の範囲で本番利用が可能」
今回の「Azure SQL Database の無料枠を本番環境で使ってはいけないのか？」という疑問に対しての答えは「Microsoftとしては本番利用を禁止しているわけではないので、無料枠を使う場合の制限やリスクを理解してそれでも問題ないとしている方は本番環境での利用ができる」というものになります。
本番運用で使用するデータを無償提供するというのは、セキュリティ面や可用性の観点など様々な面でリスクがあり、Microsoft や 知識人の方々がおっしゃる通り本番環境データを運用するべきではないというのもわかる話です。充分検討した上での本番環境での利用をお試しください。
